「SCコネクタ」は最も一般的な光コネクタで、JISやIECの規格にもなっております。もともと日本のNTTで開発された光コネクタで、FTTH(ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)の普及に伴い各家庭に設置されているONU(光-電気変換装置)には全面的に採用されております。接続方法は、プラグとプラグをアダプタ(J-J)を介して、プッシュプルで行われます。青いツマミ部分を持って抜き差しするだけで特別な工具は必要としません。操作性の良い光コネクタです。
世界的に普及した「SCコネクタ」にハウジングを被せて「防水化」した光防水コネクタが今回紹介する「SW20シリーズ」となります。2種類のファイバ(シングルモード、マルチモード)に対応しております。
<プラグ製品番号> SW20-SCPT75-2(22):シングルモード用 SW20-SCPT75-2(23):マルチモード用
<レセプタクル製品番号> SW20-SCR-1(02):10個単位梱包
SCコネクタ同様、「LCコネクタ」も標準的な光コネクタです。米国のベル研究所の流れをくむ「ルーセント・テクノロジーズ社」で開発され、ネットワーク機器のインターフェース(SFPなど)として世界中に普及しました。SCコネクタに比べて実装面積が約半分となっており、LANのコネクタの代表であるRJ45と同様ラッチによるロック構造を採用しております。SW20シリーズでは、SCタイプと共通コネクタハウジングに2芯実装しておりますので、信号の送受信を1個のコネクタで行うことができます。
<プラグ製品番号> SW20-LCPT75-3:シングルモード用 SW20-LCPT75-3(21):マルチモード用
<レセプタクル製品番号> SW20-SCR-1
SW20シリーズは、内部の標準コネクタ(SCコネクタ、LCコネクタ)のロック機構も活かしております(特許取得済:ヒロセ電機)。コネクタ嵌合の際は、まず内部のコネクタにロックがかかり、その後、外装部分のバイヨネットロックで防水を確保するイメージです。コネクタを引き抜く際は、外装のバイヨネットロックを解除しコネクタ本体を引くだけで内部コネクタのロックは解除されますので、操作性が非常に良いです。内部のコネクタでロックがかかることにより、確実なPC(physical contact)が実現し安定した光ファイバ接続となります。
SW20シリーズは、バイヨネットロックを採用しております。外装のロックを半回転させて「カチッ」と音がするまで回すことで防水接続が完了します。手袋をはめた手で回してもロックの感触が手に伝わります。1芯のSCタイプ、2芯のLCタイプは、外装ハウジングが共通ですので作業性も同じです。 一般的なロック方式に「スクリューロック」がありますが、どこまで回せばロックがかかるかが解りにくいデメリットがあります。両者の違いは、下のリンクから御覧ください。
SW20シリーズは、標準コネクタを採用しているため右図上のように、プラグの光学特性検査を行う際に、標準のSCアダプタやLCアダプタを使うことができます。これにより、検査の基準となる「マスターコネクタ」もSCタイプ、LCタイプを使用することができます。特殊な専用マスターコネクタは不要になりお手持ちのマスターコネクタを活かすことができます。
また、装置の検査を行う際にも右図下のようにSW20のプラグではなく、標準のSCコネクタやLCコネクタ付きパッチコードを使って検査や動作確認を行うことができます。
光コネクタを使った装置を組み立てる際、インターフェースとして「光レセプタクル」を取り付ける場合が多いです。多くの場合、光レセプタクルにも専用の光アセンブリが伴いますが、SW20であれば一般的なSC(LC)コネクタ付きパッチコードをそのまま使用することができます。部品として調達しやすく、安価であることがメリットとなります。
SW20は標準光コネクタを採用していることにより、汎用の光コネクタクリーナが使用可能です。光コネクタを接続する場合、光信号の通り道であるコネクタ端面を必ず清掃してから行います。プラグ側、レセプタクル側ともに汎用の光コネクタクリーナが使用できます。右の写真は、レセプタクル側のクリーニングの様子です。
例えば、屋外機器のオプションポートなど、まだプラグが嵌合するかどうかわからないレセプタクルには防水保証のあるキャップが使用されます。数年後の嵌合でも防水キャップであれば安心です。また、工事の手順により、装置の設置が先でプラグの嵌合が数日後になるようなことがございます。このような場合も防水キャップが必要になります。
<防水キャップ> キャップ内部にガスケットが入っているためIP67の防塵・防水等級を保証できます。ロック機構は、プラグと同様のバイヨネットロックとなっております。
キャップ製品番号:SW20-RC1
<防水キャップチェーン付き> チェーンを装置本体に固定することによりキャップの紛失を防ぐことができます。着脱が多い場合に有効です。
キャップ製品番号:SW20-RC2
<ダストキャップ> ゴム製の簡易型タイプ。防水保証はございませんが、防塵等級=5となります。
キャップ製品番号:SW20-RC3
SW20シリーズでは、プラグ側コネクタに予めキャップが添付されております。防水保証はございませんが、デリケートな光コネクタ先端部を保護できます。設置現場で光ケーブルを布設する際、プラグ側コネクタをどうしても引きずってしまうケースがございますが、そのときでも重要な光コネクタ先端部を保護することができます。万一キャップを紛失してしまった場合、キャップ単体でもご購入いただけます。
キャップ製品番号:SW20-PC1
光コネクタは、フェルールと言われるジルコニア(セラミクスの一種)素材の部品を採用し、その中に光ファイバが通線されております。フェルール先端の中心部には光ファイバの断面があり、断面同士が接続されることにより信号が伝送されます。この断面は非常にきれい研磨されていることで、光信号の損失を小さくすることができます。研磨にはいくつか種類がありますが、SW20では以下に対応しております。研磨形状は、全て共通でR20mmの球面研磨となりますが、光学特性のひとつの「反射減衰量」の値が変わります。この値が大きいほど「特性が良い」となります。
光ファイバの種類 | 研磨の種類 | 反射減衰量 |
マルチモードファイバ | PC研磨 | 27dB以上 |
シングルモードファイバ | PC研磨 | 27dB以上 |
同上 | SPC研磨 | 40dB以上 |
同上 | UPC研磨 | 50dB以上 |
SW20シリーズのプラグは、専用の組立治具が必要になります。下記の通り、4種類ありますが、太平電機では全ての専用治具を保有しております。専用ケーブル+SW20プラグ=ケーブルアセンブリの形でオーダーいただければ、1本から対応いたします。両端SW20、逆側がLCコネクタなど端末の指定とケーブル長、研磨の種類をご指定ください。
●コードカン組込治具:SW20-SCLC-T1/CV-MD ●引止金具組込治具:SW20-LCPT75-1/CVMD3 ●スプリングワッシャー組込治具:SW20-LCPT75-1/CVMD4●LCツマミ組込治具:SW20-LCPT75-1/CVMD1
品名 | メーカー | 用途 |
OGNMNE SR15×2C(シングルモード2芯 テンションメンバFRP 黒) | フジクラ | 標準 |
SMB02-HS-FR(シングルモード2芯 テンションメンバなし 黒) | JMACS | 高強度 |
TEC1.7-2-E-FR-WB OS1(R7.5)(シングルモード2芯 テンションメンバ鋼線 黄) | 住友電工オプティフロンティア | 難燃(JIS C 3005 の60°傾斜試験)、Φ15曲げ |
L-SM2(2M)―NA/NA―SB | プロテリアル | 防鼠光 |